TRAKON から直接、Zebra プリンターで RFID 資産ラベルを印刷・エンコード

TRAKON は、RFID 対応の Zebra ラベルプリンターを直接制御します。資産の登録時に Print & Bind を選ぶと、ひとつの印刷ジョブが全工程を通しで実行します。ラベルの表面を印刷し、指定があれば EPC をチップに書き込み、チップを読み戻して、実際に読めた EPC を資産レコードに紐付ける。一枚のラベル、一つのジョブ、一件の資産が、同じ一回の処理の中で検証まで済みます。
これを信じる前に、誰もが確かめたくなる質問が三つあります。率直に答えます。普通のバーコードプリンターで RFID は書けるのか。書けません。インクを印字する機構と、チップに書き込む機構は別のハードウェアだからです。Zebra のプリンターならどれでもエンコードできるのか。できません。RFID エンコーダーは工場出荷時のオプションであって、ファームウェアではありません。いま動かしているソフトウェアは関係あるのか。あります。書き込んだのに検証していないチップ、検証したのにレコードへ紐付けていないチップ。自家印刷のラベルが静かに狂っていくのは、まさにそこだからです。
一つの筐体に、プリンターとエンコーダー
ラベルプリンターは、感熱式の印字ヘッドで紙にインクを載せる機械です。RFID ラベルプリンターは、同じ筐体の中に、もう一つまったく別の装置を抱えています。短距離の無線機です。ラベル用紙に埋め込まれたチップを、ラベルが中を通過するあいだに起こし、そのメモリーへ書き込みます。二つの装置が触れ合うことはありません。印字ヘッドはチップに届かず、エンコーダーは紙に一本の線も引けません。
だからこそ「正しいラベルさえ買えば、手持ちのバーコードプリンターで RFID ができるのか」への答えは、いくら払ってもノーです。RFID ラベル用紙を普通のプリンターに通せば、印刷としては完璧に読めるラベルが出てきますが、チップの中身はロールに巻かれていたときのままです。印刷された文字とシリコンの中身は別々の記録で、両者をつなぐものは何もありません。バーコードとはそもそも何か、チップがそこへ何を足すのかは、以前の記事で扱っています。
Print & Bind ジョブの中身
TRAKON の紐付けダイアログで Print & Bind をクリックすると、Bridge がプリンター向けの ZPL ジョブを一つ組み立てます。ZPL は Zebra が公開しているラベル記述言語で、その RFID コマンドは Zebra 自身の RFID プログラミングガイドに文書化されています。ジョブが運ぶ命令は最大で三つです。
- 表面を印刷する。 ラベルテンプレートから、資産のコードと名前を描画します。
- チップに書き込む。 エンコードを指定した場合だけです。ラベルがエンコーダーを通過するあいだに、EPC がタグのメモリーへ入ります。
- チップを読み戻し、報告する。 このラベルのチップに実際に何が入っているかをプリンターが読み取り、ソフトウェアへ返します。
資産に紐付く EPC は、三番目の手順で返ってきたものです。テンプレートにあった値でも、書き込みコマンドが意図した値でもなく、チップ自身が答えた値。書き込みは失敗することがありますし、ラベル用紙は予想を裏切ることがあります。信じてよい番号は、すべてが終わったあとにシリコンから読み戻した一つだけです。
読み戻しが同じジョブに同居している理由
プリンターとは、ラベルを前へ送り出す機械です。もし印刷と検証が別々のジョブだったら、そのあいだにラベルが進むのを止めるものは何もありません。読んでいるチップは、いま印刷したラベルではなく、ロール上の次のラベルのものかもしれない。画面上はすべて正常に見えたまま、資産はまだロールに巻かれたタグ、これから別の何かに貼られるタグに紐付いてしまいます。
印刷、書き込み、読み戻しを一つのジョブに閉じ込めることは、この種の間違いを、注意深さではなく構造で消します。返ってきた番号は、いま出てきたラベルのものです。ジョブが途中で一度もラベルを手放していないからです。「ワンステップで紐付ける」の実務上の意味はここにあり、先にラベルを刷っておいて、あとからスキャンして登録するやり方では、どれほど丁寧にやっても再現できない部分でもあります。
接続方式が決めること
Bridge のセットアップで Zebra プリンターを有効にすると、Printer Connection の選択肢が三つ現れます。USB print only、TCP/IP Print & Bind、USB P&B。この分かれ方は製品の等級付けではなく、ケーブルの性質から来ています。
Windows 標準の USB 印刷キューは一方通行です。コンピューターからプリンターへジョブを押し出すことはできても、構造化された情報は何も返ってきません。印刷だけなら困りませんが、その返り道こそ Print & Bind が頼りにしている経路です。だから素の USB キューの上では、正直な機能名は print only になります。ネットワーク接続(セットアップ例では ZPL over TCP、ポート 9100)は双方向の会話です。ジョブが出ていき、検証済みの EPC が同じ経路で戻ってきます。ネットワークを引けない机のために USB の Print & Bind モードも用意されていますが、これから新しく組む机で全工程を使いたいなら、ネットワークケーブルを引いてください。話しかけるだけのプリンターと、会話のできるプリンターの違いです。
印刷の成功と紐付けの成功は別の結果
読み戻しは、空で返ってくることがあります。ロール上のチップが死んでいた、違う用紙を装填していた、このラベル種向けの RFID キャリブレーションをまだ走らせていない。どの場合でも、紙のほうは完璧な見た目で出てきます。TRAKON はこれを紐付けの失敗として扱います。実際に失敗だからです。検証済みのチップを持たない印刷済みラベルが、この世に一枚生まれてしまった。そのラベルはゴミ箱へ、レコードは未紐付けのまま、印刷をやり直します。
この厳格さこそが機能です。防いでいる失敗、つまり見た目は正しく、きれいに貼れて、しかし何にも紐付いていない、あるいは別のレコードに紐付いているラベルは、起きた当日には見えず、スポットチェックが暴く日に高くつきます。たいていは目の前にあるのに欠品と出る資産という形で。これを稀に保つ実務上の習慣は一つです。別のラベル用紙を装填したら、プリンターの RFID キャリブレーションを走らせること。新しい用紙のどこにチップが座っているかをエンコーダーが学ばないと、書き込みも検証も安定しないからです。
そもそもエンコードしない現場が大半
ベンダーがあまり最初に言わない話をします。書き込みの手順は任意で、ほとんどの導入では省略されます。ACCUZ® ラベルは出荷時エンコード済みで、各チップには工場を出た時点で EPC が入っています。この場合の紐付けとは、すでに入っている番号を読んで資産レコードへ結びつけることで、机の上でのやり方は二通りです。AZD-R1 デスクトップリーダーにラベルを載せれば、EPC が紐付けダイアログへ自動で入ります。あるいは出荷時エンコード済みの用紙で Print & Bind を走らせれば、プリンターが人の読める表面を印刷し、同じ一回の処理でチップを読みます。書き込みの手順はなく、表面とチップが同じラベルを指していることが保証されます。
自社の資産を追跡するだけなら、番号付けとしては通常これで足ります。EPC の仕事は、一意であることと、紐付いていること。意味のほう、つまりコード、名前、分類、ロケーションはデータベース側に住んでいます。自社の工具を追うのに GS1 の企業プレフィックスも採番標準も要りませんし、社内追跡のためにそれを採用しても、情報は増えず、儀式だけが増えます。
エンコードが本領を発揮するのは、番号そのものに意味を運ばせたいときです。ERP の資産コードを埋め込んだ EPC、交換チップへ特定の値を入れなければならない貼り替え、使える番号を持たずに届く無地のバルク用紙。その場合は書き込みが先に走りますが、それでも紐付けの関門は読み戻しのままです。失敗した書き込みが、誤った番号を台帳へ滑り込ませることはできません。
TRAKON ではどう見えるか
プリンターの設定は Bridge にあります。デスクトップリーダーを設定するのと同じ場所です。Enable Zebra RFID label printer にチェックを入れ、接続方式を選び、TCP/IP ならプリンターの IP とポートを入力する。それだけで、プリンターは三つ目の紐付け手段として現れます。資産ページで Bind Tag を押すと、Manual Input、Scan from Reader、Print & Bind の三つのタブを持つダイアログが開きます。この流れは Asset Basic でも Count Basic でも同じです。紐付け済みの資産の詳細パネルには Print Label の操作が残ります。現物に貼ったラベルが擦れて読めなくなり、刷り直しが要る日のためのものです。
机の上に必要なものは次のとおりです。RFID オプションを搭載し、ZPL を話し、Bridge の動く PC から届く Zebra プリンター。できればネットワーク経由で。ラベル側は、手元のプリンターがインレイ位置をキャリブレーションできる用紙であること。そして資産が鋼製なら、金属対応の記事で扱ったラベルの話は、既製の印刷済みラベルとまったく同じように、自家印刷のラベルにも当てはまります。
プリンターを発注する前に
問いはラベル側から逆算してください。出荷時エンコード済みの用紙で足りるなら(社内の資産追跡だけなら、通常は足ります)、プリンターの仕事は表面の印刷とチップの検証に縮みます。AZD-R1 で紐付ける机には、プリンター自体が要らないかもしれません。エンコードが本当に必要なら、確かめることは三つです。見積書のその型番に RFID オプションが載っているか。正面に Zebra と書いてあるだけでは足りません。紐付けを行う机までネットワークを引けるか。使う予定のラベル用紙は、そのプリンターがキャリブレーションできるものか。
Zebra の RFID プリンターがすでに現場にあるなら、TRAKON はそのプリンターの母語で話します。有効にするのは Bridge のチェックボックス一つで、プロジェクトではありません。
TRAKON は ACCUZ® Industries が開発し、サポートしています。